忘都日本 震災1ヶ月目中編

そう言いながら父親の骨の結合手術を決定した翔兵達は、早速遺伝子電送機械を使った手術の準備をした。

準備をし開始から30分たったころ、遠隔術式が終わり少し休んでから帰宅の途に就いた。

「そういえば、兄さん達の創った調整体シリーズの人たちって今どうしてるの?」

 古仲言った通りである。翔兵達の一族は5年前自分達の卵子と精子を使い、世界で初めてクローン人間の開発に成功している。今現在、翔兵と梅子が所属中の病院に30人、教育関係に60人、警備関連に200人、の計290名(初代・20名、2代目・120名。大使シリーズ初代・150名)(男女比5.5/4.5)が生まれている。

「実際、兄さん達が所属している病院の調整体の方々には会ったりしているけど、他方面の方々には会うことが少ないから。あの体付きで生まれて五年はないからね。」

「それに加えて、知られてはいないようだけど調べた結果自分達三人は高レベル放射性廃棄物の中でも何万年も耐えれる遺伝子が出来ているらしい。それが原因で成長ホルモンの超過剰分泌が起きて調整体の異常な成長スピードが起きているみたいだな。調整体の脳自体は一般人レベルであってもニューロンの生成も数倍速いらしいから知り得た情報の解析もはかどり過ぎて暇ができるほどだと、自丹波教授が感謝していたよ。」

「確かに、調整体(クローン)の研究もそうだけど、それに関連した研究が飛躍的に向上して論文自体で大部屋二つが埋まるくらいお兄さんが研究に協力した結果よ?実際、自分に瓜二つの調整体(堀ヶ谷鈴子)を作ってくれて自身は学業に専念出来ているのだから。」

調整体の話をしながら翔兵達三人は、飛行しながら家の門前まで来た。

「これはどういう形だ?」

「確実なことは、父さんが地下の構造設計に船舶の設計思想を取り入れたんだろう。」

 浮かび上がった家の形を見た古仲が混乱した声で疑問を言い、断定する形で翔兵が即答した。

 敷地内に入ったら、警備員が一人又一人と翔兵達に殺気を放ってきた。だが翔兵達と分かったら直ぐに殺気を収めた。

「穂国さん、だだいま帰りました。災害時だからこそその警戒感はさすがです。そして警備員の皆さんもこの一か月間家を守ってくれてありがとうです。」

翔兵は、穂国と呼ばれた男性とそれを取り巻く十数人の警備員に賛辞と感謝の気持ちを述べた後、古仲と梅子を連れて家中に入っていった。




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