玄関についた翔兵達をを出迎えたのは、知代についている女性執事の南風原三豊だった。
「お帰りなさいませ、翔兵君・梅子さん・古仲君。」
「ただいま帰りました、三豊さん。母さんたちは家に中にいますか?」
「三豊さん、ただいまです。」「三豊さん、ただいまです。」
三豊は三人の帰宅の挨拶に首貞し、翔兵の質問に答えた。
「ええ、居間にいらっしゃいますよ。」
翔兵達は廊下の奥にある居間に入っていった。
「翔兵、梅子、古仲、お帰りなさい。」
「お帰りなさい。古仲、梅子、翔兵、県の要職就任おめでとう」
知代、翔君と立て続けにそういった後、翔君が三人の就任に対して簡単な祝辞を述べた。
「まあ、特例措置みたいなもんだけどな。しかしながら父さん、治ったばかりとは言え、無理はしないでよ。いつ、結び付けている手術用の糸が無くなるか分からないのだから。」
「ああわかっているさ。実際には俺自身も医師免許証を20歳の時に取得していたから自分でもある程度治療はできてたんだよ。細かい部分はお前が自身の技術を使ってすぐ直せると見込んでね。」「自分的には普通の救急車に載せる一般的な検査(CTやMRI等)の診断機械を造りたくて今の会社を創業したんだよ。」
ため息を付きながら呆れた表情で言う翔兵に、翔君は医師としての自分と医療機器メーカーの創業者としての自分について話した。
「そういえば翔兵、貴方会見の時、実際はどこにいたの?」
「ああ、あの時ね。実は取材陣(カメラマンに扮し)のところにいたんだ。しかし分身を使用したのを見破るとはね。さすが母さんだ。実際は、調整体の七五三御さんが自分の身体と一体となり入室し、自分は瞬時に立ち位置に移動しカメラマンに扮したという事さ。幸な事に取材陣の大半が知人だったから良かったものの、物語の域を出ない分身の術を使用できる人物を知らない人たちは騙されたと思っただろうね。」
「あの時、お兄さんがそれを使っていたのを見てこっちの四人は笑いをこらえるのに必死だったのよ?確かに取材陣の大半の方達は私たちの秘密を知っているし、そのうちの二割は苦笑いしながら質問してきて大変だったんだから。まあ、会見の後半である程度重要な発表は終了していたし個人個人の抱負だったからよかったけどね。」
と笑い飛ばしながら、梅子が言ったら家族みんなが笑い出した。
それから二ヶ月後、県内各地で被害の爪痕が残るものの公立学校の再開が発表された。
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